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池井戸潤作・半沢直樹シリーズ4作目「銀翼のイカロス」読書感想文

Kanemoriです。

話題のドラマ半沢直樹の新シリーズが始まるみたいですね。今回のドラマの原作「銀翼のイカロス」の読書記録です。ちなみに今回のドラマは3作目の「ロスジェネの逆襲」と4作目の「銀翼のイカロス」の2作品を原作としているみたいですよ。

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銀翼のイカロス

半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力!
新たな敵にも倍返し! !

頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、 500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。 政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い ——プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?

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 「オレたちバブル入行組」は半沢さんが就活中の大学生時代から物語が始まりますが、今回の「銀翼」では銀行本部第二営業部の次長という役職に就いています。1作目から読んでいると、半沢くんもずいぶんと出世したものだなぁ(何目線?)と成長を感じることができます。

サラリーマンの出世物語というと「島耕作」が有名ですが「半沢直樹」も引けを取らない爽快なストーリーです。将来的には「取締役・半沢直樹」とか「頭取・半沢直樹」とかが読める日がきたらイイなと勝手に思っています。

以下、ネタバレ含みます。

気になる飲食店

やはりいつもの「倍返し」が爽快ですね。半沢さんが幾度となく困難にぶち当たるわけですが、今回の倍返しも何段階かあり、その度に親友の渡真利さんと行く美味しそうな飲み屋の描写が面白いです。様々な登場人物が食事や密会や会合の度に、いろいろな飲食店が登場します。

半沢さんと渡真利さんは飲みながらお仕事の話をするので、若者の多い居酒屋であったり、行き慣れたバーであったり、秘密の話をしても周りに気づかれにくいお店をチョイスしているようですね。栗焼酎をロックで嗜むのがお好きな半沢さん。イケてる営業部次長は渋い好みです。

今回の悪役・乃原弁護士や白井大臣が現れる飲食店は、いつもどこか見せかけだけで値段だけ一流のお店(たぶん架空)に設定されているあたりも面白いポイントです。ところでチェーンスモーカーの乃原さんがしょっちゅうタバコを吸っている描写がありますが、今回の健康増進法改正により飲食店では基本禁煙になりますね。これを受けて、これからの小説などは表現方法が変わっていくのかなと思うと少し寂しい気がしますね。

頭取・中野渡謙

ワタシの一番のお気に入り。銀行のトップ中野渡頭取。今回の「銀翼」では最終的に頭取の椅子から退きます。清濁併せ吞むタイプで銀行内派閥の融和を目標に掲げており、芯を強く持っているお方。私欲にまみれた取締役員たちを平等に取りまとめるなど、半沢さんが尊敬するバンカーのひとりです。

乃原弁護士に追い詰められ、夕暮れの執務室でお悩みになっているお姿がお労しい。腹心のトミさんと居酒屋でサシ飲みのシーンは、銀行という戦場を戦い抜いてきた戦士たちの名言が連発していますので、ビジネスマン必見です。

常務・紀本平八

今回の銀行内の敵・紀本常務。実に人間臭くていいスパイスになっています。半沢さんに敵対する乃原弁護士とは小学校時代の同級生。某銀行支店長の息子・紀本少年は、ある日、乃原少年の父親の会社が倒産したことを友達にバラてしまい、乃原少年はクラス中から馬鹿にされてしまう。この出来事が原因か乃原弁護士は紀本常務にいい印象を持っておらず、東京第一銀行時代の不正をネタに容赦なく脅されてしまします。

乃原弁護士にジワジワと追い詰められていく様は、読んでいるコッチまで胃がキリキリしてくるほど。気の毒ではありますが、元は自分の不正がなければこんな事になっていないので自業自得ですかね。どこで彼の歯車が狂ってしまったのか、人間って愚かな生き物ですわ。

営業第二部部長・内藤寛

半沢さんの直属の上司で取締役。東京中央銀行の中では数少ない、よき上司でよき理解者。取締役会の中では私利私欲や保身を優先する人が多いので、まともな上司っぷりがまるでオアシスのような存在になっています。再生タスクフォースが要求している500億円債権放棄の稟議で、取締役会での毅然とした立ち回りはカッコよかったですね。崖っぷちの紀本常務にどんでん返されてしまっても冷静に最後の条件を付けるとか。半沢さんを諫めたり説得したりと上手に操るアニキ的なイメージのお方です。

金融庁検査官・黒崎駿一

オネエ言葉の捜査官。シリーズ2作目「オレたち花のバブル組」で意地悪な存在感が光りまくっていた彼が再登場です。前回婚約者の話が出ていたけれど結婚なさったのかしら。今回はブレずに半沢さんを徹底的に苛め抜きますが、ちょっとしたヒントを与えてくれたりします。国交省金融庁は同じ政府の機関でも、縦割り組織なので、黒崎さんは新しい国土交通大臣に少なからずいい印象を持っていないっぽい。プライドの高い黒崎さんらしいやり方だなと感心します。敵の敵は味方(?)みたいな感じですかね。

帝国航空財務部長・山久登

半沢さんの今回のミッション、経営再建する対象の企業である帝国航空の財務部長。最初に登場したときは半沢さんの再建案を一蹴したものの、状況の変化により理解を示します。その後、政権交代で進政党の新たな国土交通大臣の立ち上げた再生タスクフォースの強引なやり方に大きく反発し、半沢さんと意見を交換し合う仲になります。

話が進むにつれ、彼自身が飛行機が好きで帝国航空に入ったという事に気が付き、愛する会社を自分たちの力で再建させたいと涙を流す場面も。空港内の飛行機ハンガーでの描写が素敵でした。

倍返しだ!

テレビドラマ版では(ワタシ見たことないのですが)ココという時に飛び出すセリフ「やられたらやり返す、倍返しだ!」ってやつ。当時ワタシの上司がよくマネしてたなぁと懐かしく思います。小説でもちょいちょい「倍返しだ!」って言っていますが、半沢さんの「基本は性善説」って信念を持った上で言ってるんだよって、きちんと伝えてもらえると嬉しいな。

おわりに

ドラマが始まるっていうので、便乗してブログを書いてみました。半沢直樹シリーズの作者・池井戸潤氏の作品は、いつも爽快なストーリーでいて、銀行や企業の社会構図など勉強になる部分も多々あります。機会があればもっとたくさんの作品に触れてみたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。